講座09【露出補正】:逆光・半逆光こそがドラマチック!透けてくる光をとらえる
はじめに:なぜ逆光だと顔が暗くなるの?
これまでの講座で、ピント合わせや画作り設定を通じて、写真の表現力を高めてきましたね。
しかし、いざ写真を撮ってみたとした時、
「せっかくきれいに撮れたはずなのに、逆光で顔が真っ暗に…」
「雪景色や白い壁を撮ったら、なぜか全体がグレーっぽくなってしまった…」
「夕焼けを撮ったのに、思ったより明るくて感動が伝わらない…」
そんな経験はありませんか?
カメラは基本的に、写真全体の明るさが「適正」になるように自動で判断します。しかし、これは常に「見た目通り」の明るさになるとは限りません。
特に、逆光や白い被写体、暗い被写体など、明暗差が激しいシーンでは、カメラの自動判断がうまくいかず、あなたのイメージと違う明るさの写真になってしまうことがあります。
このような時に役立つのが、今回のテーマである「露出補正」です。
露出補正を使いこなすことで、あなたは単純にカメラ任せにせず、自分の意図した明るさの写真に仕上げることができるようになります。
この講座では、あなたのカメラで、逆光でも顔が暗くならないようにしたり、雪を白く、夕焼けをドラマチックに表現するための「露出補正」の活用術を学んでいきましょう。
露出補正って何?どうして大切なの?
「露出(ろしゅつ)」とは、カメラのセンサーに当たる光の量のことです。この光の量が多いと写真が明るくなり、少ないと写真が暗くなります。
カメラは、内蔵された露出計(光を測る装置)を使って、写真全体の明るさが「少し暗く」なるように自動で露出を決定します。これが「適正露出」とされる基本的な考え方です。
しかし、人間が見ている景色は、常にカメラが判断する「少し暗い」状態とは限りません。
順光で特に大きなメリハリのない景色などでも、人の目が見ている感じよりも、少し暗く適性値をとっています。
※この「適正露出」という基準は、フィルムカメラの頃に重要なものでした。白が完全に白になってしまうとフィルムの物理的なトーンがなくなってしまうため、少し暗めに撮っておいて、後からプリントで調整できる余地を残す、という必然性から生まれたものです。少々初心者向きの内容としては本質的なお話しになりますので、なるほどそういうことか、くらいに留めておいていただければ問題ないです。
例えば、もっとメリハリのある状況をイメージしてみて下さい。
逆光の人物撮影では、カメラは明るい背景に合わせて露出を決めようとし、結果として人物の顔が暗くなってしまいます。
これはよくある例で、スマートフォンなどでの撮影でもみなさん経験がある方も多いと思います。最近のスマートフォンはでこの問題を自動でクリアできるような機能が初期設定で備わっています。
また、一面の雪景色を撮る際、カメラは明るすぎる雪を少し暗めに「薄いグレー」に近づけようとするため、真っ白な雪がグレーっぽく写ってしまうことがあります。一面の雪、というような場合では少しプラス側に露出を変更するときれいな白になります。
※もちろん、写真加工のソフトウェアで後から少し明るくしても似た効果が得られます。
このような光の状態にメリハリがある時などに、「露出補正」を使うことで、カメラが自動で決めた露出から、意図的に写真の明るさを変えて、意図した明るさの写真にすることができます。
露出補正が大切な理由は以下の3点
- 意図した明るさを表現する
カメラの自動判断に頼らず、自分のイメージ通りの明るさに調整できます。 - 逆光対策
逆光で暗くなりがちな被写体を明るく補正し、顔をしっかり写すことができます。 - 表現の幅を広げる
白をより白く、黒をより黒く、あるいはハイキー(全体を明るく)やローキー(全体を暗く)な雰囲気を作り出すことができます。
露出補正は、写真に「光のコントロール」という、もう一つの表現の幅を与えてくれる、とても大切な機能なのです。
まずは使ってみよう!露出補正の基本操作
それでは、いよいよカメラを操作して露出補正をしてみましょう。
1.「露出補正ダイヤル」を探そう
方法:
多くのカメラには、露出補正を素早く調整できる専用ダイヤルがあります。
実践:
あなたのカメラのボディ(またはメニュー画面)に、「+-」のアイコン(または「EV」)がついたダイヤルがないか探してください。
これが露出補正ダイヤルです。
通常、ダイヤルを「+(プラス)」方向に回すと写真が明るくなり、「-(マイナス)」方向に回すと写真が暗くなります。
露出補正は、0を基準に「±1/3EV、±1/2EV、±1EV」といった刻みで調整できます。(EVはExposure Valueの略で、露出値のことです)
まずは「Av(絞り優先モード)」や「Tv/S(シャッタースピード優先モード)」など、カメラが自動で露出の一部を決めるモードで使うのがおすすめです。
2.逆光で人物を撮る時に使ってみよう
方法:
逆光で人物の顔が暗くなるのを防ぐため、プラス補正で明るくします。
実践:
逆光で人物(家族や友人)を撮影してみましょう。最初は露出補正をせずに撮ってみてください。きっと顔が暗く写るはずです。
次に、露出補正ダイヤルを「+0.7EV」や「+1.0EV」の方向に回して、もう一度撮ってみましょう。
ファインダーや液晶モニター越しに、人物の顔が明るくなったのが確認できるはずです。
多くの場合、逆光の人物撮影では「+0.7EV」から「+1.3EV」程度のプラス補正で顔の明るさが自然になります。
3.雪景色や白いものを撮る時に使ってみよう
方法:
白い被写体がグレーっぽくなるのを防ぐため、プラス補正で明るくします。
実践:
白い雪景色や、白い壁などを撮ってみましょう。露出補正なしだと、カメラが白を「薄いグレー」にしようとするため、やや暗く、グレーっぽい写真になることが多いです。
ここで、露出補正ダイヤルを「+0.3EV」から「+1.0EV」程度にプラス補正して撮ってみてください。
雪の白さや壁の明るさが、見た目通りに再現されるはずです。
【練習のヒント】
- 窓際で逆光になる場所に置物を置いて、露出補正なし、+0.7EV、+1.3EVで撮り比べてみましょう。
- 白い紙を撮影し、露出補正なし、+0.7EV、+1.3EVで撮り比べてみましょう。
- 逆に、黒いものを撮影し、露出補正なし、-0.7EV、-1.3EVで撮り比べてみましょう。
カメラが自動で決める明るさから、自分の意図でどれだけ明るさを変えられるか体感することが大切です。
※「測光モード」という「どこで明るさを測るか」を選択できるメニューの選び方でも変わってきます。今回はシンプルに説明するためにスキップします。
応用テクニック:露出補正で写真の雰囲気を変える
露出補正は、単に「適正な明るさにする」だけでなく、「写真の雰囲気を演出する」ことにも使えます。
見た目に近い=いい写真 というわけではありません。あくまで明るさの補正のお話で、写真の作風や作品の方向性によって、どのような明るさがよいかは変わります。
ハイキー(明るくふんわりとした)表現
方法:
全体的に明るくプラス補正することで、優しくふんわりとした印象の写真になります。
実践:
例えば、テーブル上のグラスや花を撮る時、あえて「+1.0EV」や「+1.7EV」といった大きめのプラス補正をしてみましょう。
写真全体が白っぽく、明るく柔らかい雰囲気になり、可愛らしさや清らかさを強調できます。
ローキー(暗く引き締まった)表現
方法:
全体的に暗くマイナス補正することで、クールで引き締まった、あるいは重厚な印象の写真になります。
実践:
夜景や重厚な建物、男性のポートレートなどを撮る時、あえて「-0.7EV」や「-1.3EV」といったマイナス補正をしてみましょう。
写真全体が暗く引き締まり、被写体の存在感や雰囲気、ドラマチックさを強調できます。
夕焼けをもっとドラマチックに
方法:
夕焼けを撮る時、あえてマイナス補正をすることで、空の色を濃く、ドラマチックに表現できます。
実践:
夕焼けは非常に明るいので、カメラが自動で露出を決めると、空の色が薄く写ってしまうことがあります。
ここで「-0.3EV」から「-1.0EV」程度のマイナス補正をしてみましょう。空の色がより濃く、赤みが増して、ドラマチックな夕焼け写真になります。
練習問題:身の回りのものを露出補正で撮ってみよう!
さあ、いよいよ実践です。
今日から、身の回りのものを「露出補正」を意識して撮ってみましょう。
- 逆光になる場所で人物やペット
顔が暗くならないように、プラス補正(+0.7EV〜+1.3EV)を試す。 - 雪景色や白い壁
白さが際立つように、プラス補正(+0.3EV〜+1.0EV)を試す。 - 夕暮れの景色
空の色を濃くドラマチックにするために、マイナス補正(-0.3EV〜-1.0EV)を試す。夕陽だけでなく、景色全体の雰囲気が出る要素を足してみましょう。
撮った写真の露出補正なしのものと、補正ありのものを見比べてください。写真の明るさや雰囲気が、あなたの意図に沿ってに変化することがわかるでしょう。
この講座で覚えること(まとめ)
- 「露出補正」は、カメラが自動で決めた明るさから、自分の意図で写真の明るさを調整する機能
- ダイヤルを「+」に回すと明るく、「-」に回すと暗くなる
- 逆光で人物の顔が暗くなるのを防ぐため、プラス補正を活用する
- 雪景色や白い被写体を白く表現するため、プラス補正を活用する
- 露出補正は、ハイキーやローキー、ドラマチックな夕焼けなど、写真の雰囲気を演出するためにも使える
- 見た目に近い見え方=いい写真 というわけではない。作風や作品の方向性に合わせて明るさを決める。
この講座で、あなたは光の状況に適切な調整を加えて、自分のイメージする明るさで写真を撮れるようになりました。
それではまた!











