講座08【仕上がり設定】:もっと個性的に!自分スタイルの「仕上がり設定」をみつけよう
はじめに:なぜカメラの「仕上がり設定」で写真が変わるの?
これまでの講座で、ピント合わせの基本をマスターし、撮りたいものに確実にピントを合わせられるようになりましたね。
「きれいに撮れるようになったけれど、なんだかあと一歩、パンチが足りない…」
「プロの写真のような、鮮やかさや深みが欲しい…」
そう感じたことはありませんか?
実は、カメラはただ光を記録するだけでなく、記録する「色や明るさのメリハリなどの方向性」を調整する機能が備わっています。
この「仕上がり設定」を調整することで、写真の鮮やかさ、コントラスト、シャープさ、そして全体的な雰囲気を、あなたのイメージに近づけることができるのです。
また、その仕上がり設定にさらに微調整を加えることで、自分だけのスタイルの確立につながることもあります。
スタイルの例:色の鮮やかさが低い設定 + 光のぼやっとした感じを積極的に盛り込むことで、フィルムカメラとオールドレンズ(昔のレンズ)で撮ったようなノスタルジックなスタイルにする
まるで、料理に隠し味を加えるように、カメラの仕上がり設定はあなたの写真に「個性」と「魅力」を与えてくれます。
この講座では、あなたのカメラに搭載されている、写真をもっと色鮮やかで魅力的にする「仕上がり設定」について学んでいきましょう。
「仕上がり設定」って何?どうして大切なの?
「仕上がり設定」とは、カメラが画像を記録する際に、色合い、明るさのメリハリ(コントラスト)、画像のくっきり感(シャープネス)などを調整し、最終的な写真の仕上がりを決める機能のことです。
これは、カメラメーカーによって呼び名が異なりますが、
- ソニー: クリエイティブルック、クリエイティブスタイル
- キヤノン: ピクチャースタイル
- ニコン: ピクチャーコントロール
- 富士フイルム: フィルムシミュレーション
などと呼ばれています。
これらの設定を変えることで、以下のような写真の印象をコントロールできます。
- 鮮やかさ(彩度): 色の濃さや派手さ
- 明るさのメリハリ(コントラスト): 明るい部分と暗い部分の差
- くっきり感(シャープネス): 画像の輪郭の強調度
- 色合い: 全体的な色の傾向(赤みを帯びる、青みを帯びるなど)
もし仕上がりを全く意識しないと、カメラの初期設定のままで、
風景が地味に見える
人物の肌色がくすんで見える
写真全体がハリのない印象になる(眠たい と表現したりします)
といったような「物足りない写真」になりがちです。
仕上がり設定は、あなたの感性や表現したい雰囲気を写真に反映させるための、とても大切な要素なのです。
写真を劇的に変える!「仕上がり設定」の基本
それでは、いよいよカメラを操作して仕上がり設定を試してみましょう。
1.「スタンダード」から始める基本の仕上がり設定
- 方法
カメラの初期設定(多くの場合は「スタンダード」)は、どんなシーンにも対応しやすいバランスの取れた設定です。 - 実践
まずは、あなたのカメラのメニューから「仕上がり設定」に関する設定を探してみてください。
おそらく「スタンダード」というような名前の設定が選ばれているはずです。
この設定で何枚か写真を撮ってみましょう。これが、あなたのカメラが持つ「基本の味付け」です。
2.シーンに合わせて選ぶプリセットモード
- 方法
多くのカメラには、特定のシーンに合わせた仕上がり設定のプリセットが用意されています。
- 実践
「仕上がり設定」メニューには、以下のようなモードがあるはずです。カメラによってバリエーション、呼び名の違いがあります。
- 鮮やか(Vivid / 風景):彩度とコントラストが高めに設定され、風景写真などをより華やかに表現したい時に適しています。青空や新緑、花の色などを際立たせたい時に試してみましょう。
- ポートレート(Portrait):肌色が自然で健康的に見えるように、彩度やシャープネスが調整されています。人物を美しく撮りたい時に最適です。
- ニュートラル(Neutral / 自然):彩度やコントラストが控えめで、より見た目に近い自然な描写になります。後からパソコンで細かく編集したい場合などにも向いています。
- モノクローム(Monochrome / 白黒):色情報がなくなり、白黒写真になります。光と影、被写体の形や質感、構図を強調したい時に使うと効果的です。
- 鮮やか(Vivid / 風景):彩度とコントラストが高めに設定され、風景写真などをより華やかに表現したい時に適しています。青空や新緑、花の色などを際立たせたい時に試してみましょう。
これらを切り替えて、同じ被写体を撮り比べてみてください。写真の印象が大きく変わることに驚くでしょう。
3.さらに自分好みに!パラメーター調整
- 方法:プリセットモードを選んだ後、さらに「彩度」「コントラスト」「シャープネス」などといったパラメーター(値)を個別に調整できます。
- 実践:
例えば、「鮮やか」モードを選んだ後に、
「もう少しだけ彩度を上げたい」
「コントラストを弱めて、柔らかい雰囲気にしたい」
「シャープネスを上げて、くっきりさせたい」
などといった微調整が可能です。
カメラの液晶画面で調整結果を確認しながら、少しずつパラメーターを動かしてみましょう。
【練習のヒント】
まずは、彩度、コントラスト、シャープネスの3つのパラメーターを、それぞれ最大と最小にして写真を撮り比べてみましょう。
どんな変化があるのかを体感することが大切です。
その後、例えば「風景」モードを選び、その中で彩度を少し上げてみたり、コントラストを下げてみたり、と調整して、自分の好みの「仕上がり設定」を見つけてみてください。
応用テクニック:RAW現像への第一歩としての「仕上がり設定」
もしあなたのカメラが「RAW(ロウ)」形式で撮影できるなら、この仕上がり設定設定はさらに奥深い意味を持ちます。
RAWデータとは
RAWデータとは、カメラのセンサーが捉えた光の情報を「生データ」のまま記録したものです。圧縮され情報を固定したJPEG形式とは異なり、仕上がり設定はRAWデータ自体には直接反映されません。しかし、RAWデータをカメラ内で「現像」する際や、後からパソコンで「現像」する際に、撮影時の仕上がり設定を適用したり、全く別の設定に変更したりできます。
パソコンでの「現像」とは、おおまかに言うと、RAWで撮影したデータをパソコンの「ソフトウェアで調整する」ことをいいます。ホワイトバランスや仕上がり設定などを画像の劣化を抑えて調整することができます。
これにより、撮影時にはRAWで撮影しておき、後からじっくりと「鮮やか」にしたり、「モノクロ」にしたり、あるいは自分好みに細かく調整する、といった使い方が可能になります。
まずは、カメラ内でのJPEG撮影で仕上がり設定の違いを体験し、興味が出てきたらRAW撮影にも挑戦してみるのがおすすめです。
方法としては一般的に以下の順番になります。
・カメラでRAWが撮影できるように設定する
※ 機種ごとに設定が違うので説明書を参照しましょう
・撮影したRAW画像をパソコンにコピーする
・PhotoshopなどRAWを扱うことができるソフトで調整する
応用テクニック:後から編集で適用できる「プリセット」
撮影後に写真に適用することで、写真に独特なスタイルを与えることができる「後から加えるプリセット」というものもあります。主に写真編集ソフトで使用します。後から適用しますがこれも同じく「プリセット」という名前です。AdobeのLightroomなどで使用することができ、PCでもスマートフォンでも活用できます。スマートフォン用のLightroom(モバイル版)は無料なので試してみるといいでしょう。写真のツールと色調整の可能性がまだまだあることを実感できると思います。
また、Adobeからは無料のプリセットも配布されています。
もし、この後から加えるプリセットが使いやすいようなら、有名な作家や世界中のアーティストがプリセットを配布・販売しているので探してみるといいでしょう。ゆくゆくはあなたオリジナルのプリセットを作り、配布や販売できると思うとワクワクしてきませんか!?
もし、将来プリセットを作ったなら、SNSなどで紹介させていただきますので、ぜひお送りいただければと思います。
練習問題:身の回りのものを仕上がり設定を変えて撮ってみよう!
さあ、いよいよ実践です。今日から、身の回りのものを「仕上がり設定」を意識して撮ってみましょう。
- 庭のお花や風景:
まずは「スタンダード」で。次に「鮮やか」で。さらに「鮮やか」の彩度を少し上げて撮り比べる。 - 人物(家族や友人):
まずは「スタンダード」で。次に「ポートレート」で撮り比べる。肌色の違いに注目。 - 形が面白いオブジェ:
まずは「スタンダード」で。次に「モノクローム」で撮り比べる。光と影の表現の違いを見る。
撮った写真をぜひ見比べてください。仕上がり設定を変えるだけで、写真の「魅力」が大きく変わることに気づくでしょう。
この講座で覚えること(まとめ)
- 「仕上がり設定(ピクチャースタイル、クリエイティブルックなど)」は、写真の色味、コントラスト、シャープネスを調整する機能
- 「スタンダード」は基本、様々なシーンに対応できるバランスの取れた設定
- 「鮮やか」「ポートレート」「モノクローム」などのプリセットモードをシーンに合わせて活用する
- 「彩度」「コントラスト」「シャープネス」などのパラメーターを調整し、さらに自分好みの仕上がりを目指す
- 仕上がり設定は、写真に個性と魅力を与えるための、表現の幅を広げるツール
- 適切なものが見つかれば、自分のスタイルを確立できるかも!
この講座で、写真に物足りなさを感じることなく、より魅力的な一枚を生み出せるようになります。自分の撮影する被写体に応じた、自分ならではのスタイルを見つけましょう!
次回の講座では、逆光でも顔が暗くならないように調整することができる「露出補正の活用術」について学んでいきましょう。個人的にはかなり活用しているスキルです。人物撮影や背景をボカす撮影でもとても役に立ちます!
それでは、仕上がり設定の世界を楽しんでください!

